







和製タイルの先駆け
江戸時代から続く窯元「瀬戸本業窯」がつくる「本業タイル」です。
陶器でできており、サイズが15cm×15cm×1cmほどと大きく、1枚でも存在感が抜群です。
花瓶の下に置いたり、鍋敷き、自宅の壁のアクセント、とても品良く、華やかにしてくれます。
「瀬戸本業窯」の野花立てと合わせて。
蝙蝠幾何学文(こうもりきかがくもん)

蓮幾何学文(はすきかがくもん)

百合幾何学文(ゆりきかがくもん)
厚みは1.2cmほど。
サイズ感のご参考に。存在感のある大きさです。
明治時代に導入された、銅板転写で絵付け
銅板転写によって、1枚ずつ手作り。
銅に彫り込んだ版で転写紙に柄を印刷し、その転写紙から柄をやきものに写し取るという「銅板転写」の技術によって、1枚ずつ手仕事でつくられています。
歴史を伝えるタイル
日本にタイルが伝わったのは、6世紀末のこと。大陸から「瓦」として伝来します。
12〜14世紀になると、禅宗とともに中国建築様式が伝来し、床に「敷瓦」を敷いた建造物ができるようになりました。
江戸時代前期に尾張藩初代藩主義直公の廟所に、釉薬がかけられた瀬戸でつくられた敷瓦が使われ、それが日本のタイルのはじまりといわれています。
タイルは、日本では化粧煉瓦(けしょうれんが)、装飾煉瓦など、25通りもの名称で呼ばれていたのですが、1922年に「タイル」に統一されました。明治維新によって洋館が増えた頃、瀬戸ではタイルが大量につくられるようになりました。
最初は手描きによって絵付けされていましたが、量産するために銅板転写へ。
伝統的な日本の紋様に加え、植物や花柄、複雑な幾何学模様などの装飾が施されたイギリスのヴィクトリアン・タイル調のデザインが多く採用されました。
瀬戸本業タイルは、その頃に作られたものを当時の作り方で、再現したものです。
[商品について]
名称:本業タイル
素材:陶器
サイズ:15cm×15cm×1.2cm
質感:ガラス質の釉薬が感じられ、艶やか。
製造元:瀬戸本業窯
※手作りのため、おおよその目安として、参考にしていただけると幸いです。
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[瀬戸のツクリテご紹介]
暮らしに根ざした手しごと。江戸時代から続く窯元「瀬戸本業窯」

「瀬戸本業窯」は、瀬戸市内の洞というエリアにあります。尾張瀬戸駅からは1.5kmほど。江戸時代中期には、馬の目と呼ばれる絵柄の皿や石皿、明治に入ってからは、日本で初めて生まれた陶製タイル「本業タイル」など、日用品が作られてきました。
こちらでは、そうした江戸時代、あるいはそれ以前から続く、瀬戸のものづくりに近い仕事を続けていらっしゃいます。
「本業」とは、陶器のこと。瀬戸は古くから陶器でやきものが作られてきたため、新たに登場した磁器は「新製」と呼ばれています。

洞は、ふたつの山が迫った谷間のまちだったため、昔は山の斜面を利用して無数の登り窯があったそうです。その頃に登り窯で使われていた窯道具を積んだ“窯垣”が誕生。まちのみなさんによって、時間をかけて保全されてきました。
この窯垣がおよそ400m続く、かつて職人が行き交ったメインストリートは「窯垣の小径」と名付けられ、やきものの産地らしい佇まいを残しています。

2022年には「瀬戸・ものづくりと暮らしのミュージアム[瀬戸民藝館]」も誕生し、館内には瀬戸市の指定文化財の登り窯があり、13連房だったとも言われるその名残りを感じられます。
開館の目的は、先人より受け継がれてきた、この地のものづくりの文化を知ってもらうこと。そして、うつわが人をつなぎ、その背景にある人びとの「暮らし」を伝えていくことを目指しているといいます。
手しごとのものづくり

職人として働く、河合さゆみさん。
そんな瀬戸の昔ながらのやきものの世界を今に伝える「瀬戸本業窯」では、月に約2000点も手しごとでつくっています。成形は基本的にろくろです。

絵付けは絵柄によって、専門の絵付師が描いています。
分業制をとることで、一人ひとりが同じ工程の仕事を反復する。そのことで手がなれていき、クオリティも生産スピードも上がっていくため、このような体制でつくっているのだといいます。
原土から粘土をつくる
さて、こうしたろくろや絵付けといった手しごとが、多くのみなさんが想像される、手しごとの世界だと思います。
では、それ以前の原料へ想いをはせたことはあるでしょうか?
「瀬戸本業窯」では、粘土からつくっています。瀬戸はやきものに適した「蛙目粘土」という世界一ともいえる良質な土が採れます。
けれども、原土のままでは、粘土としては使えません。雄介さんに土づくりについて、お伺いすると、とても丁寧に教えてくださいました。
「瀬戸の山から採れる原土(瀬戸で白土と呼ばれている、蛙目が入った土)を粉々にして、フルイに通したものを仕入れて、水と合わせて、寝かせているだけ。 蛙目粘土には等級があるんだけど、あえて雑味があって、粒度が荒いものを選び、きれいになりすぎないようにしています」
「原土から粘土分を抽出しようとすると、その過程で不純物がどんどん取られてしまう。そうすると、土味としては 磁器の土側の方に行くわけだね。うちは、1回乾燥させた乾式の土を水と合わせて、山にあった元の状態に戻すだけ。このやり方はね、一般的じゃないよ。ちょっと特別」
このほかに入れるものは、木節粘土とシャモットです。

こちらは木節粘土。乾式のものに水を入れて、粘土にした木節粘土。ろくろ成形のしやすさをサポートするために入れます。
形をキープする力が強く、人形などの原型をつくる原型師に好んで使われるものの、とても縮みやすい粘土のため、入れるのはほんのすこし。

シャモットとは、焼いた土を粉砕したもの。触ると、白土よりも、ザラザラしています。木節粘土はすごく縮むため、縮みすぎないように調整のために入れます。 一度焼いたものは、すでに縮んでるため、縮みにくいそうです。

こちらが混ぜ合わせたもの。粘土質のかたさによって、投入する水分を決めていきます。こちらが粘土をつくって、約1ヶ月寝かせたもの。

3ヶ月目の熟成粘土。全体がよりなじんでくる。

土づくりは、2ヶ月に1回ほど。使用するときには攪拌するために土練機に通して、使います。
釉薬も自然のものを使用

釉薬場。
釉薬もすべて手作りです。瀬戸の山でよく採れる赤松を燃やして、灰にした「灰釉」。それをベースに、銅を加えて緑釉へ。鉄分を加えたものは鉄釉となる。お米のわら灰を加えると、白釉になります。

自然から生まれる優しい色合い。
瀬戸はやきものがつくるための土壌が本当に恵まれ、この街の暮らしをつくってきたことが伝わってきます。
わたしたちが感じる「瀬戸本業窯」のすごさ
最後に、わたしたちが純粋にすごいと感じている点は、八代目・水野雄介さんと会話をしているなかで、つくっているもの一つひとつに対して、質問すると、いつも即座に答えが返ってくること。
例えば、コーヒーカップは、本来、日本には存在していなかったもので、瀬戸本業窯にはどのようにもたらされかなど。その背景には歴史があり、きちんとした理由があり、それを雄介さん自身が、常にはっきりと意識していること。そこにいつも感動しています。使ってみるとわかる、その答えを実感できます。ぜひ体感してください。