このたび、名古屋城とコラボさせていただき、名古屋城内で販売される公式土産「NAGOYA CASTLE」シリーズに、「ヒトツチ」が企画した“御深井焼”「殿様のごほうび」シリーズが登場することになりました!
作品をつくってくださったのは、瀬戸・ 赤津にある、明暦2(1656)年開窯の「喜多窯 霞仙」です。1年ほど前に名古屋城の担当者さんからお声かけいただき、ひっそりと温めてきたこのプロジェクトで、ようやく発表できる日がやってきました。10/5(土)に、名古屋城内とヒトツチで発売をスタートします。
「御深井焼」とは?
名古屋城初代城主・徳川義直は、豊かな国には産業が必要とやきものに力を入れ、城内にやきものの産地である瀬戸から陶工を招き、殿様の趣向に合わせた作品や贈答品として、“御深井焼”が作られていました。
名城公園周辺は、かつて下御深井庭(したおふけにわ)と」呼ばれ、殿様専用のお庭でした。この一角にやきものの産地である瀬戸から陶工が招かれ、殿様の趣向に合わせた作品や贈答品が作られ、“御深井焼”と呼ばれていました。
とりわけ瀬戸の土に鉱物の長石(ちょうせき)と木の灰を混ぜた釉薬を使った作品は「御深井釉」と呼ばれ、御深井焼を代表する作品となっています。透明感のある青緑色で、青磁のような澄んだ色合いが特徴です。
1656年開窯の窯元「喜多窯 霞仙」とは?
今回、お土産をつくってくださったのは、370年近く続く窯元「喜多窯 霞仙」。
工房を構える赤津地区は、やきものの産地・瀬戸市のなかでも特別な存在です。伝統的工芸品の陶器「赤津焼」が作られているエリアで、日本のやきものの歴史のなかでも、最初に釉(うわぐすり)のかかった本格的な技法を始めたと言われています。
もともと赤津は赤津村というひとつの村でした。1925年に当時の瀬戸町へ。現在も、地名が残る赤津町は当時の繁華街の一帯で、訪れると、右を見ても左を見ても、やきもの関係者のお店や工房が軒を連ねています。
ここは瀬戸ではなく「赤津村」です。そんな雰囲気を感じます。
1年ほど前、名古屋城のみなさんから御深井焼のお土産がつくりたい、とのお話をいただき、はてはてどうしようと悩んでいました。“御深井焼”の存在は知っていたものの、何が御深井焼なのか所説あり、なかなかの難問でした。
そこでご相談させていただいたのが、「喜多窯 霞仙」十二代当主の加藤裕重さん。
歴史ある窯元ながら若手や海外の人々にとにかく寛大で、20年以上も前に工房を開放する「赤津窯の里めぐり」を企画したりと、新しいことに意欲的です。そんな裕重さんは、御深井焼や御深井釉の基本を惜しみなく教えてくださいました。
ギャラリーで、作品を見せていただいたところ、伝統的な作品のほかにも、日常使いにも使えるKASENシリーズを作っていらっしゃって、現代の暮らしにもぴったり。令和という時代に合う、親しみを感じる御用窯として、今回、お願いさせていただいたのです。
御用窯「唐三郎窯」へ
お土産づくりにあたって、実際に「御用窯」として、名古屋城内で御用を勤しまれた「唐三郎窯」へと、名古屋城のみなさんともご挨拶にお伺いさせていただきました。
今もやきものが続いているのは、本当にすごいお話です。
加藤唐三郎先生は、瀬戸市内で暮らしていても、なかなかお会いできない方なので、緊張しましたが、とっても気さくなお方でした。作品はどれも格調高く、惚れ惚れしてしまうような美しさ。
名古屋城内に入る時に使う鑑札というものも見せていただき、そちらも感動しました。
「唐三郎窯」は、瀬戸で陶祖と呼ばれている加藤四郎左衛門景正(通称:藤四郎)を祖先に持つといわれています。藤四郎は、曹洞宗の開祖道元禅師に従って中国へ渡り、やきものの技法を学んで帰国し、やきものに適した土を求め、辿り着いたといわれています。
「喜多窯 霞仙」は、その分家にあたります。赤津には歴史ある窯元が多く、今と歴史が交差するふしぎな感覚を感じます。
お土産紹介
それでは、ここからはお土産品の紹介です。「殿様のごほうび」シリーズでは、ろくろを中心とした手しごとで一点ずつ作られています。
御深井釉小皿(1,760円)
ろくろ成形に、縁のリム部分を彫刻刀のようなもので削る「鎬」(しのぎ)という装飾をほどこした小皿。
御深井釉徳利( 3,850円)
ろくろを回転させたまま、職人手製の弓を使い、面取りを施す。さらに、中に木の棒を入れ、中に膨らみをつくるという難易度の高い技法。回転の勢いを感じる一期一会の作品です。
御深井釉猪口(1,980円)
徳利と同様の作り方で、面取りを施したもの。中をのぞくと、御深井釉のたまりが輝きます。
御深井釉湯呑(2,200円)
お茶に、焼酎の水割りに自由に使いやすい湯呑。弁柄、御深井釉の組み合わせ。両者が混ざり合う位置に飴釉のような色味が現れています。
御深井釉珈琲茶碗(3,630円)
ろくろでつくるアメリカンサイズのマグカップ。通常の日本人向けのサイズよりも大きく、海外の方のお土産にも。御深井釉の下は、日本最古の顔料とも言われる弁柄。
御深井釉耳飾(各4,840円)
耳飾はピアスです。成形には型を使い、細かな装飾は手描きで施されています。丸型、長方形、花びらの3種類をご用意しました。
今回、「studio point」の澤田剛秀さんにデザインは手がけて頂きました。商品開発に不慣れた私たちを助けてくださり、とてもすてきに仕上がりました! 感謝です。
瀬戸でお待ちしています
最後に、「ヒトツチ」の南慎太郎よりこの「殿様のごほうび」シリーズに関してのメッセージをお伝えします!
「今回、名古屋城のご担当者さんからお話をいただき、御深井焼、御深井釉のことをもっと知っていただきたい! というありがたい想いで進めさせていただきました。また、今回、老舗窯元『喜多窯 霞仙』さんにご協力いただくことができ、お土産品として手の届く価格帯にしていただくことが可能になり、心より感謝しています。
名古屋城から瀬戸へは名鉄瀬戸線を使えば、一本で行き来することができます。瀬戸市内の『定光寺』には、名古屋城初代城主・徳川義直が眠る廟もあります。嗜みとして武芸を好み、瀬戸へよく狩猟にやってきていたそうです。今回、この殿様のごほうびシリーズに興味を持って頂き、さらに名古屋城と瀬戸を今につなぐきっかけになれば嬉しいです」
みなさま、どうぞよろしくお願いいたします。
【イベントのお知らせ】
11/17(日)には「やっとかめ文化祭 DOORS」の企画にて、加藤裕重さんがお話されます。会場は、なんと名古屋城内の本丸御殿です。わたしたちも、お土産販売させていただきますので、ぜひ遊びにきてくださいませ!
「 名古屋城で生まれた御深井焼 〜尾張徳川家が慈しんだ産業の軌跡〜」
[日時]11/17(日)14:00〜15:30
[会場]名古屋城 本丸御殿 孔雀之間 名古屋市中区本丸1-1
※地下鉄名城線「名古屋城」駅7番出口より徒歩5分
[参加費]1,000円(別途、名古屋城観覧料500円)
[講師]加藤裕重(喜多窯 霞仙 十二代当主)