瀬戸を伝える。ヒトツチ限定商品
愛知県瀬戸市は、千年以上続くやきものの産地です。陶磁器のことをさして、“せともの”と呼ばれるほどに様々なやきものを大量につくってきました。良質な陶土が採れたため、陶器もあれば、磁器もある。つくってきたものも多種多様で、高級品から日用品、海外輸出用のノベルティに建築陶材、碍子など、時代に合わせて、なんでもつくってきました。
そんな瀬戸のものづくりが伝えたい、と願ってはじめた、シリーズの第1弾として生まれた商品です。今回、「瀬戸本業窯」にご相談して、瀬戸で昔から描かれてきた絵柄の麦藁手のオリジナルマグカップをつくりたいとご相談させていただきました。
「瀬戸本業窯」とは?
「瀬戸本業窯」は瀬戸市内の洞というエリアで、250年以上続く窯元です。民藝の思想を大切に、瀬戸の土、瀬戸の釉薬を使い、創業当初から続く手しごとでつくり続けています。今回、八代後継の水野雄介さんにご協力いただき、オリジナルの商品を作っていただきました。
およそ40年前までは、登り窯でものづくりをされていました。現在は、環境問題への配慮などもあり、ガス窯へ移行。けれども、それ以外は、以前のままの作り方を継承しています。
工房に併設された「瀬戸・ものづくりと暮らしのミュージアム[瀬戸民藝館]」では、このエリアのものづくりの流れを知ることもできます。
手しごとによるコーヒーカップ
ろくろで、1点ずつ作られています。
取手と飲み口には茶色顔料の鉄を。
裏をひっくり返すと、瀬戸の特徴である真っ白さが伝わる。
取手が太く、安定感のある持ち心地。
麦藁手とは?
「麦藁手」は、麦の穂を思わせる昔ながら絵柄です。釉薬には、鉱物が風化した赤楽を使い、触ってみると、少しぼこぼことした触感があります。土に近い自然のものなので、そのときによって、サーモンピンク、オレンジ、やや茶色っぽい色の時があり、その変化もまたおもしろいものです。
麦藁手の茶碗。この赤楽は、サーモンピンクのような明るい色合いでした。
青い線は呉須で、茎がまっすぐと伸びた背丈の高いトクサという植物をモチーフに描かれているそうです。この素朴な柄は、民藝運動をおこした思想家・柳宗悦によって賞賛され、随筆家の白州正子に愛されたことで、よく知られています。
麦藁手を描く職人はただひとり
「瀬戸本業窯」はすべて分業制です。麦藁手を描いている職人は「一級陶磁器製造技能士」の資格を持つ絵付師・中島晶子さん。
「息をとめて、描いています」と語り、すっ、すっ、と迷いなく、美しい線を描いていきます。ヒトツチオリジナルで、持ち手の部分と上に茶色で塗っていただくことをお願いしました。
瀬戸本業窯のコーヒーカップ由来
コーヒーカップの形は、民藝に大きく関わったイギリス人陶芸家のバーナード・リーチさんの最後の弟子であるウォーレン・マッケンジーさんが、約35年前に「瀬戸本業窯」へ訪れた時に、教わったもの。その理由について、八代目後継・水野雄介さんはこう教えてくださいました。
「コーヒーカップは、現代のものです。瀬戸本業窯の伝統はない。民藝運動の関わりのなかで、バーナードリーチが訪れ、日本にもたらされました。その上で、この形は麦藁手が活きる形。直線は引っ張りやすいんだけれど、ちょっとだけ曲面があった方がよくみえる。表情がさらによく引き立ちます」
「取手は、“リーチハンドル”と呼ばれる、イギリスのピッチャー(水差し)のハンドルをつける技法です。歴史をおもんじて、現在もそのやり方で作っています」
育つうつわ
わたしたちが感じる「瀬戸本業窯」のすごさ
わたしたちが純粋にすごいと感じている点は、八代目・水野雄介さんと会話をしているなかで、つくっているもの一つひとつに対して、質問すると、いつも即座に答えが返ってくださいます。その背景には歴史があり、きちんとした理由があり、それを雄介さん自身が、常にはっきりと意識していること。そこにいつも感動しています。使ってみるとわかる、その答えを実感できます。ぜひ体感してください。
[商品について]
瀬戸本業窯×ヒトツチ オリジナルコーヒーマグカップ|
素材:陶器
サイズ:直径10cm×高さ8cm程度
容量:250ml程度
質感:ガラス質の釉薬が感じられ、艶やか。
電子レンジ: 使用可能 食洗機: 使用可能
オーブン: 不可
製造元:瀬戸本業窯
※サイズや容量は、ろくろで1点ずつつくっているため、多少変化します。おおよその目安として、参考にしていただけると幸いです。
[使いはじめのご注意]
お使いになる前に、お米のとぎ汁で3分間ほど煮沸してください。使いはじめの頃は水分がよく染み込みますので、飲み物を長時間入れておくこと、すぐに食器棚に入れる等で水分が残ってカビの原因になることもありますので、脚力お避けください。もしカビが出た場合、表面だけですので洗い流してください。害はございません。何回もお使いいただくうちにおさまります。
まったくの自然を相手にした仕事です。人体に有害な鉛やカドミウム等化学的なものは使わず、釉薬づくり、製土も昔ながらの方法で行われております。土ものの宿命をご理解くださることを願いします。
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